2018年9月27日木曜日

ミドルエイジ・クライシス ~人生半ばのstatement~

「ミドルエイジ・クライシス」

 このことばは、誰もが知っている英単語の組合せであるがゆえに、様々な場所で、好き勝手な解釈で、用いられている。まあ、ことばとはそういうものだけど。

 アメリカの心理学者・ダニエル=レビンソンの『ライフサイクルの心理学』(南博訳)によれば、人生は「児童期・青年期(0~22歳)」「成人前期(17~45歳)」「中年期(40~65歳)」「老年期(60歳~)」の各発達段階に分かれる。各時期区分の重なりの時期が「過渡期」であり、レビンソンによれば、このうち最も重要な過渡期が、「成人前期」と「中年期」の間の「人生半ばの過渡期(40~45歳)」である。

 人は人生の半ば頃から急速に気力・体力の衰えを自覚し、若さを失うことに焦燥感を覚え、職業的にも社会的にも転換期にさしかかり、肉体的にも社会的にも「どっちつかず」の状態になり、人生の無意味さに落ち込んだりする。これがレビンソンのいう「中年期の危機(ミドルエイジ・クライシス)」である。

 私はこの4月に放送大学の3年時に編入した。レビンソンの本も入学した後勉強する中で知ったのだが、この時期に自分が学びなおそうと思ったのは、そういう背景があったのかもと得心させられた。精神的にも社会的にも不安定な過渡期に、何かを学ぶことでそれを克服しようとする気持ちがあったのかも。

 9月27日、42歳になりました。私はここ2,3年のうちに、これまでの四十余年に積み残してきた課題のうちのいくつかに決着をつけるつもりでおります。



 夜は三鷹の「カーヴ・ド・タムラ」でワイン2杯とチーズ5切れ。夜遅いし、明日も呑むし。

 エリック=ホッファーは、7歳で失明し、15歳で突然視力が回復。正規の学校教育を一切受けていない。様々な職を転々とした後、39歳から65歳までサンフランシスコで港湾労働者として働きながら、62歳から70歳までカリフォルニア大学バークレー校で政治学を講じた。「沖仲仕の哲学者」として知られる。

 ホッファーは次のような警句を残している。

「真に人間的な社会とは、学習する社会である。」
「激烈な変化の時代において未来の後継者となりうるのは、学びつづける人間である。学ぶことをやめた人間には、過去の世界に生きる術しか残されていない。」
(『魂の錬金術 エリック・ホッファー全アフォリズム集』中本義彦訳)