2016年8月16日火曜日

天・地・人が交差する ~下諏訪探訪①~


8月14日0454、府中本町駅発。青春18きっぷでの旅だが、誤って最初は通勤定期で改札をくぐってしまった。


0712甲府駅着。朝食がまだなので、13分間の乗換時間に改札内のNewDaysでおにぎりと飲み物を買う。しかし、昨年の身延への旅の時もここを利用したけど、狭いんだよなあ、この店。県庁所在地の駅とは思えない設備の貧弱さである。

あと、最近のNewDaysやKioskは、『小型全国時刻表』を置かないようだ。前日まであちこち回って結局紀伊國屋書店国分寺店で手に入れた。確かに携帯端末での検索機能によって、時刻表の需要は劇的に落ちていることは想像に難くない。が、時刻表は時刻表で有用な部分があるんですよね。路線図とか。自分が今どの辺にいるのか、知りたくありませんか?

まあ、いろいろ言ったが、口ほどには怒っていない。


0837、下諏訪駅着。中央本線の駅なので、乗換の手間もほとんどなかった。というのは、若干味気ない感もあるけど。

フォッサマグナの西縁である糸魚川・静岡構造線と中央構造線が近くで交差し、日本最古の神社の1つとされる諏訪大社が鎮座し、近世には中山道と甲州道中の交点となったこの地は、まさに天・地・人の交わる「日本のへそ」と呼ぶにふさわしい場所である。地理的にも歴史的にも。


下諏訪は精密機械工業もさかんである。駅構内にこのようなショーケースがあった。



温泉地としても有名で、9つの公衆浴場と、4つの足湯がある。


街道の交差点らしく、高札場もあったようだ。というか、ウチの近所にもあるぞ。旧甲州街道と府中街道の交差点だからね。


諏訪湖時の科学館・儀象堂。ここには下諏訪観光協会も同居しており、自転車を借りることができる。ので、真っ先にこちらにお邪魔した。



儀象堂のすぐ近くには、中山道と甲州道中の交差点。


写真手前の交差点までが甲州道中。写真奥の方から来て右に曲がって伸びるのが中山道である。つまりはここが甲州道中のちょうど終点。ということは、ここから甲州道中をたどれば我が家にたどり着くのか。そんな気力はもちろんないけど。でも、江戸時代には、庶民の旅は徒歩以外にはなかった。途方もない気力ですね。

ちなみに、奥に写っているのは「まるや」という旅館で、江戸時代には大名や高級な公家の泊まる「本陣」の次の格の宿である「脇本陣」であった。現在も営業中である。ここを初めとして、下諏訪には良さそうな宿が多い。お盆期間に1人客を受け入れる宿はここに限らずなかなかないが、いつか泊まる機会があると良い。



下諏訪は山間なので、こういう坂道がたくさんある。が、電動自転車なので快適。下諏訪町のレンタサイクルはすべて電動であり、かつ、1時間100円という破格の安さ。すばらしすぎ。



こぐのが楽だと景色を楽しむ余裕がある。奥にうっすらと諏訪湖が見える。



諏訪大社下社春宮。こちらは2月~7月に祭神が祀られている。したがって、この日は神は留守。





春宮近くを流れる砥川。水が美しい。


砥川中州にある浮島社。よく見るとわかるが、四隅にきちんと御柱が立っている。


浮島社から橋を渡り、上流にしばらく歩くと「万治の石仏」がある。下諏訪では有名な観光スポット。「万治」は石仏が造立された時の元号で、西暦1658~61年を指す。


「万治の石仏」から次の目的地である「神乃湯」までは道のりで1.8km、高低差は最大で150mほど、ほぼ一貫して上り坂である。これらのことは、「auナビウォーク」で確認済みであった。が、電動アシストがあるから平気だろう、と高をくくっていた。しかし、完全に甘かった。電動アシストはこのような急坂には全く対応できない。こぐほどにダメージが蓄積し、結局いつものように押してのぼるハメになった。比喩ではなく死ぬかと思った。ペットボトルの水も用意していない。が、Googleマップによれば、途中に「古幡タバコ店」があるそうだ。そこに自販機があるはずだ。と信じてときどき息を切らして休みながら何とかたどり着いた。期待したとおり自販機があった。お茶を買い、思わずそこに座り込む。7~8分休んだ。

その後、気力を振り絞って再び上り始めると、すぐに星のシールを額に貼った未就学と思われる浴衣姿の双子男児に会った。彼らは私の前に立ちふさがり、「何しているの?何これ?」と話しかけてきた。「何これ?」の「これ」の指すものがわからず、とりあえず「自転車だね」と答えた。なおもいろいろと話しかけられたが、後ろからついてきていた彼らのお父さん、私と同い年か少し下くらいで、こちらも浴衣姿の小洒落た男性が「すみません」と言いながら引き取ってくれた。こちらこそ、彼らの相手をまともにしている余裕がなくてすみません。


「神乃湯」まで200m。この200mが如何に長いか、これまでのさまざまな場所での自転車旅の経験から私はよく知っている。大きくため息したが、誰も聞いてくれる人はいない。



この200mに、おそらくは10分以上はかけただろう。くり返すけど、本当に死ぬ思いだった。

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