2017年7月10日月曜日

鳥にしあらねば ~初めての沖縄③~

8日0700頃起床。
朝食。
夕食は期待したほどではなかったのだが、朝食はたいへん満足した。とくにアグー豚がよかった。夕食でも出たけど。

朝のアメリカンビレッジを散策。

ゴミひとつ落ちていない。

宿でグダグダした後、1030頃出発。
北谷の和食店「ひとしずく」で昼食。1130の開店直後に入れば予約は不要だろうと思っていたし、実際に入れた。だがかなりの人気店で、予約は必須だと思ったほうがよい。
前菜は生湯葉刺身、くらげ酢、海老手より寿司。それぞれの味、食感で味覚が活性化される。
椀は胡麻豆腐。蓋を開けた瞬間に出汁の香りに仰け反らせられる。というか、以前から思っているが、椀の蓋とはこのためにあるのだ。匂いに物理的な力を持たせるために。開けたものの額をクッと押させるために。
冷鉢は野菜の冷たい炊き合わせトマトジュレ掛け。炊き合わせ、この甘美な響き。
揚物は穴子大葉巻と豆腐揚げ出し。穴子はデカイ身を食べると野暮ったく感じ、噛み切り咀嚼することを義務のように思ってしまうが、このくらいだと集中できる。
食事は浅利と蕗ごはん。行く春を惜しむ。

デザートは3つから選べたが、何も考えずにゴマのブランマンジェ。これは胡麻豆腐とかぶってしまった。

さすがの名店。
北谷からバスで移動。沖縄本島滞在3日目にしてようやくの那覇。
これ、沖縄に行ったことのある皆さんはご存知かもしれない。沖縄都市モノレール(ゆいレール)の2日乗車券。購入時から48時間有効と良心的。たいへん助かった。

自動改札をくぐるとき、切符を差し込む窓がなくて往生し、あきらめて窓口で聞いた。QRコードを改札にかざすのだそうだ。
旭橋駅からゆいレールに乗り、首里駅で下車。修学旅行の中学生男子が、横断歩道でクラウチングスタートを決めようとしていた。
「龍潭」は人工の池である。
有名な守礼門。大人気。
世界遺産「園比屋武御嶽石門」。「御嶽(うたき)」とは祭祀の行われる聖所のことで、首里城周辺のみならず各処にある。門の後ろの森林が御嶽。開発でだいぶ縮小したという。
首里城は修理中。知っていたけど。

内部には「御後絵」という歴代琉球王の肖像画(実物は沖縄戦で焼失したため、そのモノクロ写真)や、紅型などの工芸品、江戸時代に琉球使節として本土を訪れた人々と本土人の交流を表す文物など、非常に興味深い品々が並んでいた。修学旅行の中学生がそれらをよく見ずに通り過ぎようとするので、首根っこ捕まえてよく見ろと言いたいくらいだった。
琉球王国の行政機構なんて、なかなかお目にかかれない。
2000年の沖縄サミットの参加者たち。ロシアの彼はこのときはまだ権力の座に就いたばかりだった。
首里城近くにある「玉陵」。「玉陵」は3つに別れている。「中室」は遺骸を放置し自然に朽ちさせる場。朽ちた遺骸は骨を洗われ、「東室」には王と王妃、「西室」にはその他の王族が安置される。

1931年に琉球最後の王・尚泰の長子・尚典の妻・祥子が葬られて以来、新たな被葬者はいない。

私が行ったときは地元の人が何人か祈りを捧げていた。
首里城近くの住宅地のこのような細い路地に入り込む。
このカフェ風の建物は沖縄そばの店「ほりかわ」である。私は現地に行って初めてこの店を知ったが、すでにかなりの有名店らしい。
「おすすめセット」は「ほりかわそば」と「じゅーしー」(炊き込みご飯)、「あーさかき揚げ」「シークァーサージュース」。「ほりかわそば」は確かに旨い。が、多少悪意のある言い方をすると、ああ、まあ、こういう隠れ家的カフェ風の店が、無科調にこだわってそばを作ると、こういう味になるよねって感じ。その店、前日に食べた名護の「八重食堂」とは文字通り「あじ」が違う。

が、訪れるべき店だと思いますよ、一度はね。
私は自動車の運転免許を持っていないので、この間はずっと公共交通機関と徒歩である。さすがに暑い。で、誘惑に負ける。一日外を歩き回ったので、私もすっかり沖縄色だな。と、顔を上げると、目の前に立っている男子高校生の肌の色が、私に、そんなものではまだまだだぞと伝えてきた。
ふらふらと歩いていたら、有名な繁華街「国際通り」にいつの間にかたどり着いていた。
ジュンク堂書店那覇店。友人への土産は石川竜一『okinawan portraits 2012-2016』を予定していた。が、赤々社に発注するも旅立ちに間に合わず。後日自宅に到着するのは自分用にすることにして、友人用のものは現地で調達。

東京に帰ってから見てみたけど、石川竜一はさすがに今を時めく人だ。しばらくは毎日飽かず眺めてしまった。
久茂地の「いちぎん食堂」。
「ゆしどうふ定食」(500円)。これでこの日4食目。「ほりかわ」は食べる予定ではなかったんですよ、言い訳すると。でもね。あんな店偶然見つけて、入らなかったら旅じゃないでしょ?
「いちぎん食堂」は繁華街「松山」の入り口にある。上間陽子『裸足で逃げる』に出てくる女性たちは、こういう街で働いている。
引き続き夜の那覇を彷徨っていると、映画好きには全国的に有名な「桜坂劇場」前を偶然通った。
仕事の終わった友人と那覇市牧志で待ち合わせ。
「餃子の店 新茶家」。友人が沖縄で一番旨いという焼き餃子。中にホクホクのにんにくが一粒入っている。普段餃子はそれほど食べるほうではないので、ここで食べたときはそこまでの強い感銘は受けなかったのだが、本土に帰って餃子を食べるだびに、この店の餃子の偉大さが思い出される。
「新茶家」からちょっと歩いたところにある「青島食堂」。名物の水餃子。私は「新茶家」の焼き餃子よりもむしろこちらの方が当日は感銘を受けた。見るからにモチモチの皮。餃子とは本来は水餃子のことなのですよ、と訴えかけてくる。ただし残念ながら店主は接客というものを知らない。客はあなたの敵ではないのですよ、本来は味方なのです、と教えてあげたい。
この後は友人の自動車でドライブ。写真は那覇バスターミナル(現在解体・新築工事中)にある「仲島の大石」(なかしまのうふいし)。写真に撮るのをためらう威厳。

繁華街「辻」を通るときには、自動車の中にいても客引きが寄ってくるので閉口した。私自身は、別に綺麗ごとで言うのではなく、女性にお金を払っておしゃべりしてもらったり遊んでもらったりするというのには、どちらかと言えば屈辱を感じるほうだ。

さらに那覇市を離れて、沖縄市の嘉手納飛行場第2ゲート前にある「コザゲート通り」も車内から視察した。嘉手納基地のまさしく「門前町」であり、最盛期のベトナム戦争時は1ドル=360円(1971年からは308円、73年以降は変動為替相場制に移行)だったこともあって、たいへんな繁栄ぶりだったそうだ。が、今となっては深夜に一人で歩くことは、私でも躊躇われるような閑散ぶりだ。
途中、沖縄のスーパー「ユニオン」で翌日の朝食である「チーズハンバーグサンドおにぎり」と「ルートビア」を買い、就寝。


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