別に芸術作品など展示していなくても、棚田のある風景に目が行ってしまう。
木造家屋の板壁の濃い醤油色にも風情が感じられる。
この辺りは日本有数の豪雪地帯として知られるが、このお宅のように、入口が2階にあったり、雪で埋まらないように覆われたりしている。
これも別に今回の芸術祭の作品というわけではないが、妙に感動してしまった。観音像が高く掲げてあるのは、雪に埋もれぬためであろう。観音像ののる柱には、「みんしゅうかんわん」と刻まれている。「松代デモクラシー」を見た、と思った。
お午だ。昼食はここ、「澁い」でとることに決めていた。明治期からの旅館だった建物をドイツ人の古民家再生建築家カール・ベンクスが4年前に建て直し、渡辺紗綾子さんという29歳の女性がこの6月にオープンさせたという。ガイドブックには載っていない。そもそもそんなもの、たよるわけないじゃないですか、この私が!
この日はキッシュのランチしかないというので、それを注文した。
どれも美味だったが、とくにこのポタージュが本当に美味しかった。私はポタージュには弱い方である。「弱い」というのは、どんなポタージュでも必ず旨いと感じてしまうという意味だ。しかしここのかぼちゃのポタージュは本当に別格で、今まで飲んできたものの中でもベストワンくらいじゃなかろうか。唇に触れる滑らかさも癖になりそうだったし、直接器に口をつけて吸い込んだその味も香りも、すばらしすぎて思わず仰け反ってしまった。これはすごい!ポタージュ、できればおかわりしたかった。
洋なしのコンポート甘みから苦みまで、サクサク感からしっとり感までそろっている。美味。
この「雪国紅茶」ってのもとびきり美味しかったなあ。ちょっとビックリした。
ちなみに、この日は地元の着物作家・市村久子さんの作品が店内に展示してあって、ご本人もいらしたのだが、私自身は着物には普段からさほど関心があるわけではないので、あまり見ることはなかった。でも、今考えるともったいなかったなあ。こういう出会いは本当は大事にしないといけないのに。
この赤いふんどしをした少年の群れがなぜここに立っているかといえば、それは後ろにある(写真だとわかりにくいけど)農業用ダムの威容にインスパイアされたに違いない。とにかく存在感のあるダム。
ふんどしの少年群と同じ関根哲男による作品「原生―立つ土」。
小荒戸集落・十二神社。
十二神社はまつだい駅から1kmちょっと。ほくほく線の発車が1251で、この時の時刻は1236。小雨の中、猛然とダッシュ。
私は新潟県生まれなのだが、松代はこれが初めての訪問だった。本当にすばらしい町じゃないか。またぜひ訪れたい。
最後に、彼女の作品にも挨拶をした。
0 件のコメント:
コメントを投稿