2016年3月13日日曜日

遊ぶ春日は 暮れずともよし 故郷新潟4泊5日④ ~阿賀野の秘湯・出湯温泉清廣館~

2月29日。この日は昨年母が還暦を迎えた記念として、父と母とその母(つまりは私にとっての祖母)をつれて温泉に行くことにしていた。というか、それこそが今回の帰省の目的である。

目的の温泉は実家から自動車で1時間ほどであり、チェックインは1500であったため、父は家業である割烹でランチ営業。母と私で、三条市保内に住む祖母を拾ってそれまでドライブ。運転者は母である。私は自動車免許を持っていないのでね。

私の希望で出雲崎へ。


出雲崎は日本海に面した町である。港としては、隣の寺泊の方が有名だが、こちらは松尾芭蕉があの有名な「荒海や 佐渡によこたふ 天の川」を詠んだり、良寛の故郷であったりすることで知られる。

道の駅「天領の里」には、鎌倉時代、承久の乱で幕府に敗れ、佐渡に配流されてそこで亡くなった順徳天皇の遺骸を京都に送る際に上陸した場所の記念碑がある。



良寛記念館。



良寛は江戸後期の漢詩人・歌人・禅僧で、出雲崎の名主の長男として生まれた。22歳の時に備中国円通寺に赴き、その後諸国を行脚し、47歳で越後国国上山の中腹・五合庵(現燕市)に定住した。詩も歌も書も独自の光彩を放ち、また、奇行で知られ200近い逸話が伝わる。それほど昔の人ではない(1758~1831)ので、実話に近いものも多いと思われる。子どもの純真な心を愛し、子どもたちと手まりやかくれんぼをして遊んだと伝えられている。
「飯乞ふと 我が来しかども 春の野に すみれ摘みつつ 時を経にけり」
「この里に 手まりつきつつ 子どもらと 遊ぶ春日は 暮れずともよし」






館の内容自体は、実は僕は必ずしも満足しなかったが(展示自体が多くなく、その中に良寛以外の作品も多いので)、ホームページは良くできている。



加茂に戻り、ランチ営業終了後の父の運転により目的地へ。途中、駐車場がむやみやたらに広いセーブオンに寄る。



目的地はこちら。

「出湯温泉 清廣館」。

「日本秘湯を守る会」会員宿。
この日の宿泊客は我々だけであった。



ホームページなどを見ると、非常に流暢な英語で書かれているが、若女将はイギリスの大学を出た才媛という。






建物は1928年に作られたそうだ。祖母は1931年生まれなので、それより年上である。国の登録有形文化財。「清廣館」の開業自体は300年ほど遡れるという。



温泉は源泉掛け流しで、湯船の底から少々加熱しながらゆっくりと噴出させている。温度・源泉保全のため、人が入っていないときは客が蓋をしめる。わりとコツがいるけれど、一回しめると慣れる。








出湯温泉は旧笹神村(現阿賀野市)にある809年開湯の新潟最古の温泉である。温泉街の中心にある「華報寺」境内にも入浴施設がある。



いつ作られた案内図かわからないが、ここに載っている旅館や店は、今はもうかなりなくなってしまっている。旅館はかつては10軒以上あったそうだが、今は5軒残るのみだ。となれば、食堂やスナックなんかは閉店するのが道理だろう。










「出湯温泉パン工房」は温泉を利用しているという。県内ではかなりの評判らしい。


買って食べてみた。なかなかだった。



夕食。





宿手作りのこんにゃくの刺身と「こしあぶら」という山菜。「こしあぶらですか!」と父母が口をそろえていたので、この時期には珍しいもののようだ。塩の力を借りて保存しました、と宿の方が言っていた。





どの品もたいへん美味しく、非常に満足しました。



孝行息子の図。父と祖母からいただきました。



満足のうちに部屋に戻る。





この日の宿泊客は我々だけということで、2間続きの部屋の他に、もう1部屋用意してくださった。




そちらでは父と私で就寝。



3月1日朝。





前夜は雪であった。











案内板によれば、置屋のはずだが、さすがにもはや営業はやめてしまっただろう。この隣には、今や出湯温泉唯一の食堂と見られる店もあったが、この日は休み。



廃墟のようになってしまったかつての旅館もある。






朝食。たいへん良し。


お世話になりました。1000にチェックアウト。またぜひ来たい。




そのまま父運転の自動車で2時間ほど送ってもらい、長岡の「秀浜」。料理人を数名雇うお店で、今どき珍しいと父も感心していた。

「秀浜定食」はこの日はニシンの焼き物で、これは「清廣館」の朝食と被ってしまったが、どちらも美味しかった。そしてやはり新潟名物のっぺい汁ね。非常に久しぶりに食べたけど、貝柱が旨いねホントに。たいへんすばらしい。名店です。長岡に寄った際はまたぜひ来たい。



父母らと別れ、長岡・大手通のミルフィーユ専門店「Parisパイ」で職場への土産を買う。この日は1800から三鷹で仕事なのだ。



いやあ、数年ぶりの新潟長期滞在。たいへん充実しました。






「Parisパイ」の全メニュー大人買い。皆さん、私が同僚で良かったですね。

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